友人からこんなメッセージが届きました。
 



ヤッチ達が無事に帰国しました。

 



 

 「盾」を終えて  2003/4/22 (火) 15:26:51  YATCH

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親愛なるみなさまへ

 

YATCHです。おかげさまで18日に無事帰国しました。忙しくて書き込めずにいて
申し訳ないです。「魂」のブラウザが変更になっていたようで、時の移り変わりを感じ
ます。東京では桜も散ってしまったのでしょうね。みなさんいかがお過ごしでしょうか。

私がイラクに行っている間、応援してくださった方々、本当にありがとうございます。

また、身近な方々には大変な心配と迷惑をかけていまい、心からお詫び申し上げ
ます。出国前あまりに忙しかったとはいえ、もう少し周囲にしっかりと開戦後の
「盾」の意義を説明出来ていればと猛省しております。

さて、取り急ぎ簡単な感想を書いてみました。お時間のあるときに読んでくれれば嬉しいです。

イラクでの「人間の盾」の活動を終え、いまこうして日本に帰ってきてみて、約3週間に
わたる戦時下のバグダッド滞在がまるで夢のように思い出されます。連日連夜にわたる
ミサイル着弾音の恐怖。いかなる状況下でももてなしの心を忘れずに、逞しく生きる
イラクの人々。クラスター爆弾により下半身に無数の鉄片がくい込み、「ブッシュはテロ
リストだ・・・」とうめき声を発する少年。外国人の「盾」との禁じられた恋に落ちたイラク人ガイド。

陥落後、米兵が怖くて家族の死体に近づくことが出来ずに泣き叫ぶ人々の要請で、
米兵と交渉して死体の引き取りを手伝った際に見て触れた、あまりにも無残な人間の
なれの果ての姿・・・。

こうしたかつて見たことのない風景の数々が、砂嵐のなか朧な光を滲ませて停電の街に
そびえるモスクを怪しく照らす上弦の月を中心に、連夜の「アッラーアクバル」の祈りの
声に溶けてゆっくりと回転と始め、目が潰れてしまうほどの圧倒的な生と死のコントラストは、
いま、私の精神の深奥部で奇妙な調和を見出したかのようです。

我々「人間の盾」は、今回残念ながら始まる前に戦争をとめる抑止力にはなりえません
でした。しかし最後まで市民生活に欠かせない浄水場等のライフライン施設を守る姿勢を
貫いたことにより、市民への被害を最小限に抑えることは出来たのではないかと思っています。

もちろん「盾」がいなかった場合の被害状況と比較検証することは不可能なので、どこまで
抑止力が働いていたのかわかりませんし、結果的に犠牲者が出なかったからよかったものの、
事前に全く訓練のないまま参加するにはあまりに危険すぎる行動であるため、危機管理を
はじめ反省点は枚挙に暇がありません。

しかし今回「盾」に限らず、国家間の戦争で世界各国からこれほどたくさんの一般市民が
非武装で入り込むということは歴史上まれなことで、これは武力を行使する側にとっては非常に
やりにくかったのではないかと思うのです。もちろんこれは世界規模で連帯して高まっていった
反戦の国際世論があってこそ効果を発揮できるものであり、つまり世界の目が見ているぞと
いうのが最大の抑止効果となって、無差別爆撃など非人道的な壊滅的被害はかなり防げた
のではないかと思っています。何よりも施設周辺の住民に、こんな戦時下でも我々のような
外国人がいることに大きな安堵感を得たと感謝されたことが嬉しかったです。

自らの命を危険に晒すこうした究極の平和活動について、様々な批判があることは十分
承知しております。しかし、この国際合意のないアメリカの先制攻撃を無効化するためにこれだ
という有効な手立てがなく、国連ですらとめることが出来なかった今回の戦争に対して、我々
世界の一般市民がただ座して見守るだけではなく反対の意思表示を続け、さらには罪のない
イラクの一般市民の犠牲を最小限に食い止めようと非武装で紛争地に直接介入したというこの
事実は、今後の平和活動ならびに市民が中心となった新しい持続可能な社会創造に向けた、
小さくても貴重な一歩として記録されるのではないかと思います。

「人間の盾」とは、「人間」を信じる究極の行動だと思います。開戦前、イラク政府に悪用される
のではないか、イラク人同士の内乱に巻き込まれるのではないか、アメリカは「盾」など無視して
攻撃するのではないか、などと懸念され、これからバグダッド入りするのは自殺行為に等しい
などと言われてきましたが、そうした疑念に基づくことは一切起こりませんでした。私は今回、
イラクを信じ、アメリカを信じ、そして必ず生きて帰ってくると言った自分自身を信じて人間の盾と
なりました。疑いの連鎖が戦争を引き起こすのならば、私は信じることの連鎖によって平和を
創造したい。狂気に覆われかけた世界にあっても、信じることができる限り、そこに希望はある
のです。

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今後しばらくは、人間の盾として爆撃される側から見た戦争をテーマに、そこに生きる人々の力
強さ、また凄惨な戦争被害の実態を伝え、そしてこれからの平和活動のあり方について今回
自分が考えたことを報告会等で話していくつもりです。同時に、イラク緊急支援のための募金の
呼びかけをしていきます。そして今後国連が中心となった各国のイラク復興支援が具体的に
開始された場合、それらが満遍なく公正に行き渡っているかどうかを調査する必要があると
思うので、そうした活動についてもこれから調べてみるつもりです。

ではとりあえず。

平和への祈りをこめて

 

YATCH




 

 


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